続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
熊 本 城
釈 五岳
四面皆賊簇りて雲に似たり

城は雲中に在って級々分る

満目今日真に火国

市?村落一時に焚く

城兵は魚の釜中に在るが如く

城将の心は泰山の安きに居る

破裂丸は飛んで烈焔迸り

雲梯は笑う渠が魯般を学ぶを

忽万雷をして地より発せしむ

火牛何ぞ必ずしも田単に倣わん

六十日間虚日無く

攻守一日幾艱難

軍粮山の如く山も亦盡く

頼に我が兵力の能く殫す有り

能く力を殫すと雖も色菜ならんと欲す

千竃煙絶えて兵気寒し


知る是都督援軍の到を

大喊の声は一山を隔てて聞ゆ

城兵驀地出で賊を撃つ

賊軍崩れ去りて倒瀾に似たり

嗚呼日本国中已に城無く

唯此の城有って賊軍を遮る

城を護る者は誰ぞ谷少将

城を築く者は是当年の鬼将軍