続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
偶 感
西郷 南洲
ふたつなき

  道にこの身を捨て小舟

    波立たばとて風吹けばとて

一貫す唯唯の諾

 従来鉄石の肝

貧居傑士を生じ

 勲業多難に顕わる

雪に耐えて梅花麗しく

 霜を経て楓葉丹し

如し能く天意を識らば

 豈敢えて自ら安きを謀らん