続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
熊野の海の青きに歌へる
〜 その一 〜

貘 仙
島のかへりて歌はんは悲しきかな

海の青はわがこころに叫び

友と交わす盃の底は友愛の矢におどる

盃は白く小さきもの

されど湛えしは豪奢なる白熱の水

われは高鳴る心琴に海の唄ふをきく

ああ友よ、海よ

われは酔ひ痴れて笑ひを慎み

悲しき詩を君が盃に托さんとす