続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
獄 中 感 有 り
西郷 南洲
朝に恩遇を蒙りて夕に焚坑せらる

人生の浮沈晦明に似たり

縦光を回らさざるも葵は日に向う

若し運開く無きも意は誠を推さん

洛陽の知己皆鬼と為 り

南嶼の俘囚独り生を竊む

生死何ぞ疑わん天の附与なるを

願わくば魂魄を留めて皇城を護らん