続吟剣詩舞漢詩集

川中島を望む
菊池渓琴

龍（りゅう）戦（せん）虎（こ）闘（とう）暫（しばら）くも休（やす）む無（な）し

越軍（えつぐん）甲兵（こうへい）互（たが）いに仇（あだ）を結（むす）ぶ

古（いにしえ）より両雄（りょうゆう）並（なら）びに立（た）ち難（がた）し

今（いま）に至（いた）って二（に）水（すい）交々（こもごも）争（あらそ）い流（なが）る

雲（くも）は残塁（ざんるい）を封（ふう）じて蛟（こう）蛇（だ）奔（はし）り

秋（あき）は叢（そう）祠（し）に冷（ひや）やかにして風（ふう）雨（う）愁（うれ）う

唯（ただ）興亡（こうぼう）の長（とこしな）えに菅（かん）せざる有（あ）り

蘆（こ）花（か）洲（しゅう）畔（はん）一（いち）眠（みん）鴎（おう）

川中島の古戦場を過る
杉浦重剛

松樹（しょうじゅ）影（かげ）は寒（さむ）く秋草（しゅうそう）荒（あ）れ

英雄（えいゆう）の遺（い）跡（せき）望（のぞ）めば茫々（ぼうぼう）たり

丈（じょう）夫（ぶ）憂国（ゆうこく）平生（へいぜい）の涙（なみだ）

来（き）たり濺（そそ）ぐ当年（とうねん）の古（こ）戦場（せんじょう）