続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
神 の 邑 ─ 春 ─
梅田 恵似子
 『山が優しく 見えてくる
 山がふくらんで 見えてくる
 霞がうすももの 絹をふるわせてゆく』

花が神の邑を包む 花が神々を粧う
鳥たちがよびあい 野みちの花が咲き重なり
光がきらめきはじめる

 『いにしえは帝の 熊野詣で
 その古道をたどり
 聖なる神に近づいて
 滝尻王子 近露王子
 湯の峰は 湯ごりの里』

山は和み 川も和み 水面の影ゆらぎ
三熊野に 三熊野に 春の訪れ 春の訪れ