続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 


磯 原 客 舎
吉田 松陰
海楼酒を把って長風に対す

顔紅に耳熱し酔眠濃かなり

忽ち見る雲濤万里の外

巨鼇海を蔽うて艨艟来る

我吾軍を提げ来って此に陣す

貔貅百万髪上衝す

夢断え酒解けて燈も亦滅す

濤声枕を撼かして夜鼕々
 
岩 崎 谷 の 洞 に 題 す
杉 孫七朗
百戦功無し半歳の間

首丘幸に家山に返ることを得たり

笑う儂死に向として仙客の如し

尽日洞中棋響閑なり