続吟剣詩舞漢詩集

本塾の壁に題す・丙申の秋、三田茶話会
福沢諭吉

一（いち）小（しょう）桃（とう）源（げん）に笑（しょう）語（ご）親（した）し

花（はな）開（ひら）き花（はな）落（お）つ十（じゅう）餘（よ）春（しゅん）

洞（どう）門（もん）深（ふか）く鎖（とざ）して来（らい）往（おう）無（な）し

今（こん）日（にち）人（じん）間（かん）は復（ま）た秦（しん）ならず

　　三（み）田（た）の社（しゃ）友（ゆう）は平（へい）生（せい）を温（あたた）む

　　茶（さ）話（わ）閑（かん）に乗（じょう）じて来（らい）往（おう）軽（かろ）し

　　城（じょう）市（し）はたとい塵（じん）百（ひゃく）丈（じょう）なるも

　　一（いち）堂（どう）の談（だん）笑（しょう）秋（あき）と與（とも）に清（きよ）し