続吟剣詩舞漢詩集

芳山楠木帯刀の歌
頼元田永孚陽

乃（だい）父（ふ）の訓（おしえ）は　骨（ほね）に銘（めい）じ
先皇（せんのう）の詔（みことのり）は　耳（みみ）猶（な）お熱（ねっ）す
十（じゅう）年（ねん）蘊血（うんけつ）す　熱血（ねっけつ）の腸（はらわた）
今日（こんにち）　直（ただ）ちに賊鋒（ぞくほう）に向（むか）って裂（さ）く
想（おも）う　至（し）尊（そん）に辞（じ）して　重（かさ）ねて茲（ここ）に来（き）たり
再拝（さいはい）　俯（ふ）伏（ふく）して　血涙（けつるい）垂（た）る
心（こころ）を同（おな）じゅうするもの百（ひゃく）四（し）十（じゅう）三（さん）人（にん）
志（こころざし）を表（あらわ）す　三（さん）十（じゅう）一（いち）字（じ）の詞（ことば）
鏃（やじり）を以（も）って　筆（ふで）に代（か）え涙（なみだ）に和（わ）して　揮（ふる）う
鋩（ほこさき）は　板面（ばんめん）に迸（ほとばし）って　光（ひかり）陸（りく）離（り）たり
北（きた）のかた　四（し）條（じょう）を望（のぞ）めば　妖氛（ようふん）黒（くろ）し
賊（ぞく）将（しょう）は誰（た）何（れ）ぞや　高（こう）の師直（もろなお）
渠（かれ）が　頭（こうべ）を獲（え）ずんば　臣（しん）が頭（こうべ）を授（さず）けん
皇（こう）天（てん）后（こう）土（ど）　臣（しん）が臆（むね）を鑑（かんが）み給（たま）え
成敗（せいばい）は天（てん）なり　言（い）う可（べか）からず
一（いっ）気（き）磅？（ほうはく）　萬（ばん）古（こ）に存（そん）す
君（きみ）見（み）ずや　芳（よし）野（の）廟（びょう）板（はん）　舊（きゅう）鑿（さく）の痕（あと）
今（いま）に至（いた）るまで　生活（せいかつ）す　忠（ちゅう）烈（れつ）の魂（たましい）