続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
母 の 心
溽暑湘南未だ遽かに収まらず

弦月窓を照らして情益々切なり

指を数えて思う児や今何れの処ぞ

蚊張月を見るにも焦心の色

児や心有らば此の月に対し

想い見よ月下の母親の心を

  子を思い 寝られざる夜の 母さびし

    雨は降らねど 風は吹かねど


星は流れ雲漢索引牛寂し

波遠くして江心見るべからず

思い入る愁情就眠を妨げ

深夜耳を澄ませば母を呼ぶの声