続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
赤 穂 義 士 事 録
頼 山陽
元禄壬午十二月

維十四日夜大いに雪ふる

雪を排する四十六条の鉄

仇家の門を斫って門関折る

白雪は化して模糊の血と為る

血戦何ぞ覚えんや手皸裂するを


唯恐る隣竝の草竊と認むるを

使いを遣わし辞を致して唐突を謝す

隣方に客を会して燭見に跋す

敢えて為さんや纓冠と披髪と

客は使者として素より交結

出でて観れば快剣虎穴を抉る

凍月空に在り光下徹す

剣華雪に和して眼纈せんと欲す