偶
作
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細流高樹?柴門
住著城東負郭村
老後無為天共我
群生芸爾地収根
醺人麹蘖杯中味
写竹蘆麻筆下痕
知是前身応法性
愛?閑淡隔塵喧 |
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嘉永五年 (1852) の作。六十六歳。
小川のせせらぎと高い木々にとり囲まれて粗末な門を構え、お城の東、近郊のこの村にずっと住まって参りました。
年をとってからというもの、特に何をするでもないながら、天が私を生かしてくれております。ありとあらゆる草木は地に根を下ろして、うっそうと茂っています。
人をよい心地に酔わせてくれる酒を杯に味わい、竹を描こうと筆を走らせたつもりが、出来上がったのは蘆か乱れた麻のようなものばかり。
きっと私の前世は法身であったのでしょう。こうしてここで何の欲もなく静かに暮らして、わずらわしい世間より遠ざかっているのが好きなのですもの。
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○細流==小さな川。
○柴門==柴で作った門。粗末な家のこと。
○住著==ずっと溜まっている。著はその状態が持続している意をそえる助字。
○負郭==負は背負う。郭は城郭。近郊の豊かな土地をさす。
○無為==何事もしない。
○群生==生きとし生ける者の意であるが、ここでは地に生う草木をさしている。
○芸爾==多くさかんなさま。
○醺==酒に酔う。
○麹蘖==こうじ、転じて酒のこと。
○蘆麻==水辺に生えている蘆と麻。竹を描いたところが、葉は蘆のようで、竿は麻のような不出来な代物になったという意。
○前身応法性==前身は前世でのからだ。法性とは一切の存在や現象の本性、不変の真理を示す仏語であるが、ここではその真理を会得した身、法身というような意味で用いている。
○? (ココ) ==この所にの意。
○閑淡==心が静まり、やすらかで、物事に執着しないさま。もの静かで恬淡としている。
○塵喧==けがれて騒がしいところ。
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