夏
夜
江
馬
細
香
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碧
天
水
の如
く夜
清
涼
月
は青
簾
を透
りて影
觴
に在
り
細
酌
人
を待
つも人
到
らず
一
繊
の風
脚
素
馨
香
し |
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碧天如水夜清涼
月透青簾影在觴
細酌待人人不到
一繊風脚素馨香 |
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弘化二年 (1845) の作。五十九歳。
青い空は水のように澄んですがすがしい夜、窓のすだれを透って差し込む月影が、林の中に姿をうつしている。
ちょっと一杯傾けながら人を待っているが、やって来ない。
かすかに吹き寄せた風のあと、素馨香の香りがほんのりと漂った。 |
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○碧天如水==夜空や月光の透き通った美しさを表現して水の如しという。
○清涼==清らかで涼しい。すがすがしいこと。
○月透青簾==簾ごしにさす月影。青簾は竹や葦の簾。
○細酌==少し酒を飲むこと。
○一繊==ごくわずかな。繊は一の千万分の一を表す小数の名。
○風脚==風が通り過ぎること。
○素馨==ジャスミン。
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