戊
戍
秋
日
の 作
時
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外
憂
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少
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総
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涙
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りて宵
を徹
して流
る |
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月明今歳泣中秋
憶昨?杯侍倚楼
琴酒承歓多少事
総為悲涙徹宵流 |
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天保九年 (戊戍、1838) の作。五十二歳。
父江馬蘭斎が没する。享年九十二歳。大垣藤江禅桂寺に葬られ、その墓碑は細香が撰した。
外憂は外艱と同じく、父を亡くすことをいう。
月は隈なく輝いているというのに、今年の中秋は涙に暮れている。以前、父に従って月の見えるたかどのにたたずみ、お酒をいただいたことなどが思い出される。
琴を奏で、お酒をついで父上を喜ばせてさしあげることが出来たのはどれぐらいあったかしら。
どの思いもすべて悲しみの涙をさそい、夜もすがら途切れることなく流れ続ける。 |
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○?杯==酒を飲むこと。
○琴酒==琴を弾き酒を飲む。知識人の楽しみ。
○承歓==君主や父母の嬉しそうな様子を見るのを自らの喜びとすること。
○総為悲涙==悲涙は悲しみにより流す涙。
○徹宵==夜通し。宵は夜。
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