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江 馬 細 香 漢 詩 集
『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ

2008/02/05 (火) 京城秋遊、有懐亡先生

京城の秋遊、亡き先生を懐うこと有り
    さい  こう 

かさ ねてけい じょう るもひと そん せず

はく よう せい そう あんたましい

しらきたじゅん はん しゅう ゆう せしたもと

てい るいあと さけあと よりもおお
重入京城人不存

白楊青草暗銷魂

検来旬半秋遊袂

涕涙痕多於酒痕
天保四年 (1833) 秋の作。四十七歳。
秋上京した細香は頼家を弔問し、京の諸友と共に亡き山陽を偲んだ。

また京都にやっては来たが、逢いたい人はもういない。先生のお墓の傍のはこ柳や、はびこった草を見るにつけ、ひそかに魂も消えてしまいそうな思いにくれている。
この五日ほど秋景色をみてまわった着物の袂を調べてみると、酒のしみよりも涙のしみの方が多く残っている。

○京城==みやこ。京都。
○白楊青草==はこやなぎと青く茂った草。
○暗銷魂==暗はひそかに。銷魂は魂も消えてしまいそうなほどつらい。
○検来==検はしらべる。来は助字、〜するとの意。
○涕涙痕==涙のあと。
○酒痕==酒のあと。

『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ