○一時==時を同じうして。
○葵花==たちあおいの花。光源氏の正妻葵の上をさす。
○?風 (トフウ) ==やきもち焼きの風の意で用いており、源氏が一時通っていた六条御息所の嫉妬をさす。
○紅閨==女性の部屋。また、その部屋にいる女性を指す。
○春宵夢==春宵は男女の睦び過ごす夜を暗示する。
○空蝉蝉脱来==伊予介の妻空蝉が忍んできた源氏の気配を察し、小袿を脱ぎ捨てて部屋から逃れ出してしまったことをいう。
『源氏物語』 の 「葵」 の巻にみえる葵の上と六条御息所の車争いから、葵の上が産褥で物怪 (モノノケ)
に脅かされて亡くなる条 (クダリ) 、また 「空蝉」 の巻の源氏に魅かれながらも、その愛を拒んだ人妻空蝉の境涯をうたう。
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