冬
夜
の作
。時
に瓶
中
に梅
花
と水
仙
を挿
せる有
り
江
馬
細
香
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小
閤沈
沈
静
夜
長
し
微
明
灯
影
書
牀
を照
らす
憐
れむ可
し瓶
裏
双
清
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人
定
まり更
深
けて暗
に香
を合
す |
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小閤沈沈静夜長
微明灯影照書牀
可憐瓶裏双清態
人定更深暗合香 |
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文政八年 (1825) 冬の作。三十九歳。
しんしんとふけ行く秋の夜、独り小部屋に過ごす身には一層長く思われる。
ほの暗い灯火の光ガ書見台を照らしている。
花瓶にさした二つの清らかな花の、何といとおしい姿。人の寝静まった夜更けに、ひそかに香りをかよい合わせている。
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○小閤==閤は傍戸 (ワキド) のことであるが、小閤で小部屋を意味する。
○沈沈==夜の静まりかえるさま。
○微明==あわい光。
○書牀==書を読む台。
○双清==ふたつながら清らかなこと。
○人定==人が寝静まる。
○暗合香==暗は人知れず。合香は香りを交え合わせる。
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