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『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ

2008/01/29 (火) 砂川飲賦、呈山陽先生 (二)

すな かわ みて す、さん よう せん せいてい す (二)
    さい  こう 

こう ざい なりとう こうばい しゅ てい

あき ざん れん せい

とう いまてん ぜずちょう てい くら

どう さん してかえきたさいじょう
好在東郊売酒亭

秋残疎雨撲簾旌

市灯未点長堤暗

同傘帰来此際情
文政七年 (1824) 九月十五日の作。三十八歳。

洛東のお茶屋はまったくあの時のまま。行く秋にぱらぱらと降り出した雨がすだれや旗を濡らす。
街の灯はまだ灯されていないので、川づつには暗く続いている。先生と一つ同じ傘をさして帰り道を行く、その時の胸の高まり・・・・。

○好在==しばしばお達者でしたか、と安否を問う意で用いられるが、ここでは依然として変らずの意で用いているのであろう。
○東郊==東方の郊外。ここでは洛東。
○売酒亭==酒を飲ませる店。茶屋。
○秋残==秋がつきんとする。
○疎雨==ぱらぱらとまばらに降る雨。
○簾旌==すだれと店先にかかっている旗。
○市灯==町にともる灯火。
○長堤==鴨川の土手道。砂川より三本木の山陽の水西荘までの間。

『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ