砂
川
に飲
みて賦
す、山
陽
先
生
に呈
す (二)
江
馬
細
香
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好
在
なり東
郊
の売
酒
亭
秋
残
し疎
雨
簾
旌
を撲
つ
市
灯
未
だ点
ぜず長
堤
暗
し
同
傘
して帰
り来
る此
の際
の情
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好在東郊売酒亭
秋残疎雨撲簾旌
市灯未点長堤暗
同傘帰来此際情 |
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文政七年 (1824) 九月十五日の作。三十八歳。
洛東のお茶屋はまったくあの時のまま。行く秋にぱらぱらと降り出した雨がすだれや旗を濡らす。
街の灯はまだ灯されていないので、川づつには暗く続いている。先生と一つ同じ傘をさして帰り道を行く、その時の胸の高まり・・・・。
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○好在==しばしばお達者でしたか、と安否を問う意で用いられるが、ここでは依然として変らずの意で用いているのであろう。
○東郊==東方の郊外。ここでは洛東。
○売酒亭==酒を飲ませる店。茶屋。
○秋残==秋がつきんとする。
○疎雨==ぱらぱらとまばらに降る雨。
○簾旌==すだれと店先にかかっている旗。
○市灯==町にともる灯火。
○長堤==鴨川の土手道。砂川より三本木の山陽の水西荘までの間。
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