偶
作
江
馬
細
香
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春
窓
寂
寂
昼
開
くに慵
し
酒
に中
りて情
懐
灰
よりも冷
し
三
日
添
えず鳧
鴨
の火
臥
して聞
く朝
雨
残
梅
に灑
ぐを |
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春窓寂寂昼慵開
中酒情懐冷似灰
三日不添鳧鴨火
臥聞朝雨灑残梅 |
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文政六年 (1823) 春の作。三十七歳。
春の窓辺はひっそりと静まりかえり、日が長けたというのに窓を開けるのももの憂い。酒を飲み過ぎて、心はまるで燃えつきた灰のように、何をする気にもなれない。
鳧鴨の高炉には三日も火をたいておらず、ただ朝から横になって、雨が散り残った梅をうつ音に耳を傾けている。 |
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○寂寂==ひっそり静かなさま。
○慵==ものうい、おっくうなこと。
○中酒==二日酔い。
○情懐==気分、心地。
○鳧鴨==かもの形をした香炉。
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