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江 馬 細 香 漢 詩 集
『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ

2008/01/27 (日) 偶 作

ぐう さく
    さい  こう 

しゅん そう せき せき ひる ひら くにものう

さけあた りてじょう かい はい よりもつめ

みつ えず おう

してちょう ざん ばいそそ ぐを
春窓寂寂昼慵開

中酒情懐冷似灰

三日不添鳧鴨火

臥聞朝雨灑残梅
文政六年 (1823) 春の作。三十七歳。

春の窓辺はひっそりと静まりかえり、日が長けたというのに窓を開けるのももの憂い。酒を飲み過ぎて、心はまるで燃えつきた灰のように、何をする気にもなれない。
鳧鴨の高炉には三日も火をたいておらず、ただ朝から横になって、雨が散り残った梅をうつ音に耳を傾けている。

○寂寂==ひっそり静かなさま。
○慵==ものうい、おっくうなこと。
○中酒==二日酔い。
○情懐==気分、心地。
○鳧鴨==かもの形をした香炉。

『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ