秋
海
棠
江
馬
細
香
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庭
階
雨
を経
て気
凄
涼
冷
艶
茎
茎
海
棠
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庭階経雨気凄涼
冷艶茎茎発海棠
一任秋宵花睡去
無人秉燭照紅粧 |
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文政五年 (1822) 秋の作。三十六歳。
秋海棠は八月春ともいい、秋に赤くなまめかしい花を咲かせる。また、女性が懐う人の来ないために泣き、その涙の落ちたところからこの花が生じたという伝説があり、断腸花とも呼ばれる。
雨のあと、庭石の辺りは淋しく静まりかえっている。茎という茎に花を開いた海棠は、澄みとおったように美しい。
長い秋の夜に花が睡ろうとするのも、そっとしておこう。灯をともしてまで、紅く粧った花を照らし出そうとは誰もしますまい。
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○庭階==庭に下りるきざはし。ここでは縁先の石段のこと。
○凄涼==ぞっとするほど寂しいさま。
○冷艶==清楚で気高い美しさ。
○一任==すべてそのままに任せておこうの意。
○花睡去・照紅粧==蘇軾の 「海棠」 に 「只だ恐る、夜深くして花睡り去るを、故に高燭を焼いて紅妝を照らす」
とあるのによる。去は ・・・しようとするの意。
○秉燭==夜も灯火を手にとって。
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