京
城
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江
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寓慣東楼意更親
京城客枕已三旬
最憐簾外新帰燕
錯認吾儂為主人 |
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文政五年 (1822) 、上京中の作。三十六歳。
ずっとこの東楼に宿っているので、一層親しみが感ぜられるようになった。京に旅住まいを始めてからもう三十日ばかり。
なかでもいじらしいのは渡って来たばかりの燕がすだれの向こうにとまって、私のことをここの主人と思い勘違いしているらしいこと。
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○東楼==細香は上京の折、よく平等寺 (現在京都市下京区松原通烏丸)
に寓していたらしい。ここにいう東楼もあるいは平等寺の宿坊などを指しているかもしれない。
○京城==みやこ。京都。
○客枕==度寝の枕、即ち旅先で過ごす夜のこと。
○新帰燕==春になって渡って来たばかりのつばめ。
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