吟剣詩舞漢詩集  西郷隆盛漢詩集  吉田松陰漢詩集
江 馬 細 香 漢 詩 集
『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ

2008/01/23 (水) 偶 作

ぐう さく
    さい  こう 

やまい してじゅう じゅん いえ

はん えんしん りょく そう おお

としてねむ りをこう こんあめ

ひとへい りてらつ ゆめ
侍病十旬不出家

半檐新緑掩窓紗

霏微引睡黄昏雨

独倚屏幃夢落花
文政元年 (1818) の作。三十二歳。

ここ二百日ばかり看病をしていて、家を出ることがなかった。
ふと見ると、軒のなかばまで新緑の樹々が枝を広げ、窓かけを掩っている。
たそがれの時、折りしもしとしとと降る雨が眠りを誘い、独り屏風にもたれてうたたねをしていると、花のまい散る中にいる夢を見た。

○侍病==看病をすること。
○半檐==檐は屋根からふきおろしたひさし。のきば。
○窓紗==窓にかける薄絹。カーテン。
○引睡==睡けをもよおさせる。
○屏幃==ついたて。屏風の意で用いているのであろう。

『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ