○慇懃==ねんごろに。心をこめて。
○簾帷==すだれや垂れ幕。カーテン。
○清操==清廉潔白な節操。
○堪寒夜==冷たい夜の意とともに、寒夜は楽府 「寒夜怨」 の世界のように、独り寝の夜のうつうつたる思いに沈む女性を暗示する。
○迫玉肌==玉肌は玉のように美しい肌。白居易の 「小歳の日、談氏の外孫女孩
(ジョガイ) 、月に満つるを喜ぶ」 に 「蘭湯玉肌を洗う」 というごとく女子の美しい肌をも表現し、また蘇軾の
「紅梅 三首」 の第一首 「酒暈 (シュウン) 端無くも玉肌に上る」
のように梅にも用いる。
しのびよらんとする風や霜から寒夜 (独夜) 守ろうとする梅は無論、彼女自身の姿を重ね合わせたもので、山陽は詩稿に
「珍重、珍重、吾其の晩節の益ます烈なるを祈るなり」 と冷やかしている。
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