春
を 惜
し む
江
馬
細
香
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小
園芳
春
を住
むるの計
無
し
紅
処
凋
残
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処
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児
懶
にして
欄
辺
掃
わざる落
花
の塵
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小園無計住芳春
紅処凋残緑処新
贏得儂家侍児懶
欄辺不掃落花塵 |
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文化十三年 (1816) 晩春の作。三十歳。
私の小さな庭から去ってしまおうとする、花の咲きにおう春を止めるすべもなく、紅だった花は枯れしぼんでしまい、かわりに緑の葉が生い茂りはじめた。
ただ残ったものと言えば、うちの侍女がものぐさなため、掃われぬままに欄干のあたりに散らしていた花びらばかり。
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○芳春==花の美しい春。妙齢、青春をも比喩する。
○紅処==紅に咲きほころんだ花。
○緑処==樹々の緑、新緑。
○凋残==しぼみ、おとろえること。
○贏得==結局のところ〜〜だけが残ったの意。
○侍児==侍女。
○懶==怠けること。
○欄辺==欄は欄干、てすり。
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