冬
日
偶
題
江
馬
細
香
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流
光
倏
忽
箭
弦
を離
る
小
姪
は腰
を過
ぎ大
姪
は肩
閨
裏
看
る他
の両
児
の長
ずるを
儂
が身
更
に覚
ゆ芳
年
を滅
ずるを |
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流光倏忽箭離弦
小姪過腰大姪肩
閨裏看他両児長
儂身更覚滅芳年 |
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文化十一年 (1814) 冬の作。二十八歳。
年月の流れは速く、まるで弓を離れた矢が飛んで行くように、たちまちの中に過ぎ去ってしまう、
小さい方の甥でももう私の腰より背が高くなり、大きい方の甥は肩までになってしまった。
いつも部屋の中にいて、この二人の子供が大きくなって行くのを見ていると、私自身の若さがだんだん失われていることに、あらためて気づかされる。
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○流光==流れるがごとく過ぎ去る時間。
○倏忽==すみやか。にわか。
○箭離弦==箭は矢。弦は弓の糸
○小姪==小さい甥。
○大姪==大きい甥。
○閨裏看他両児長==閨裏はねやの中。他は動詞につく助字として 「看他す (みる) 」 とも読みうるが、江戸時代の人は概ね
「他の両児の長ずるを看る」 というように読んでいる。
○儂==われ。
○芳年==若い年月、青春のとき。
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