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『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ

2008/01/15 (月) 夏 夜


    さい  こう 

あめ れててい じょう ちく ふう おお

しん げつ まゆごとせん えい なな めなり

しん りょうむさぼ りてまど おお わず

あん こう まくらごう かん
雨晴庭上竹風多

新月如眉繊影斜

深夜貪涼窓不掩

暗香和枕合歓花
雨がやんで、庭には涼しい風が竹をそよがせてざわざわと鳴る。三日月が眉を描いたように、細く斜めにかかっている。
夜更け、涼もうと窓を開けっ放しにしていると、どこからともなくねむの花の香りが枕もとに漂ってきた。

○竹風==竹にそよぐ風。涼しさをさそう。
○新月==三日月。細い弓なりの形が女の眉に例えられる。
○繊影==細い月の姿。
○暗香==どこからともなく漂ってくる芳香。
○合歓花==ねむの木。合昏、夜合 (ヤゴウ) 花ともいう。 夏淡紅色の花を開く。夜、葉が合して一つに巻くことから、男女の和合を意味する。

『江戸漢詩選 (三) 女 流』 発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:福島 理子 ヨ リ