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日 本 漢 詩
『日本漢詩 新釈漢文大系』 著・猪口 篤志 発行所・明治書院 ヨ リ

2007/11/16 (金) 問 盗

とう
くさ なぎ せい しょう (えん せき )

とうなんこころみだりたみがい すと

とうつみせん じん

きん しゅう どう どう

はく じつ こう ぜん ひとはく しゅ すと
問盗何心漫害民

盗言我罪是繊塵

錦衣繍袴堂堂士

白日公然剥取人
語 釈

○漫==みだりに、ほしいままに。
○繊塵==こまかいちり。極めて小さいことに例える。
○錦衣==にしきのころも。
○繍袴==ぬいとりのある袴。
○堂堂==威儀の立派な様。
○白日==白昼と同じ。
○剥取人==人の衣類をはぎ取る。当時の藩主が人民に重税をかけていたのをいう。

題 意
盗賊に問い掛けた態にして、その答弁を借りて、当時の幕閣また諸侯を痛烈に諷刺したものである
通 釈
盗賊に尋ねた、 「おまえらはどういう了見で罪もない良民に危害を加えるのであるか」 と。
盗賊は答えた、 「わっしらの犯した罪は誠に些細なものでさあ。あの錦の衣に刺繍の袴をつけた堂々たるおえらがたが、真昼間、公然と人民の衣裳を剥ぎ取っているではございませんか」 と。
『日本漢詩 新釈漢文大系』 著・猪口 篤志 発行所・明治書院 ヨ リ