禁
門
を 過
ぐ
齋
藤
正
謙
(拙
堂
) |
|
金
殿
崔
嵬
彩
霞
より出
で
御
溝
汨
汨
清
沙
に走
る
春
風
隔
てず仙
凡
の界
吹
いて人
衣
に落
す上
苑
の花
|
|
金殿崔嵬出彩霞
御溝汨汨走清沙
春風不隔仙凡界
吹落人衣上苑花 |
|
|
語 釈 |
○金殿==黄金で飾った立派な御殿。美しい天子の宮屋。禁門・金闕と同じ。
○崔嵬==高大なさま。
○出彩霞==彩霞は美しい雲気。出はその上に高く聳えているのをいった。
○御溝==宮城のお堀。
○汨汨==水のはやく流れるさま。
○仙凡界==仙人の住む世界と人間のすむ世界。仙界は宮苑内をさしていったもの。
○上苑==天子の庭園。上林・上林苑・宮苑 と同じ。
|
|
題 意 |
京都の御所の門前を過ぎて作った詩。禁門は禁裏の御門、即ち京都御所をいう。 |
|
通 釈 |
御所の宮殿は高く彩霞の上にそびえ、お堀の水はさらさらと清沙の上を走っている。宮垣の内は俗人の近づき得る所ではないが、ただ春風は畏きあたりと塵界の隔てなくふきわたって、門前を通る人の衣に、御苑の花を吹き落とすことである。 |
|
余 談 |
清致あり、風韻あり、結句に、上苑の花びらを衣上に点じ得て、かしこくも、また勿体無いが嬉しき限りであるの意を述べている。作者の皇室尊敬の気持ちがよく表れている。 |
|