孤
鶴
藤
井
啓
(竹
外
) |
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苔
を啄
み水
を飲
み自
ら従
容
知
る汝
が鶏
羣
長
へに蹤
を絶
つを
昨
夜
月
明
何
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にか宿
せし
寒
流
石
上
一
株
の松
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啄苔飲水自従容
知汝鶏羣長絶蹤
昨夜月明何處宿
寒流石上一株松 |
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語 釈 |
○啄苔飲水==苔を餌にし水を飲む。人の清貧に甘んじ富貴に媚びないのに喩えた。
○従容==ゆったりと落ちついたさま。
○鶏羣長絶蹤==世間のつまらぬ者と交際を絶つ意。
○月明何處宿==明月の夜は清寒に堪えずして眠れないであろうが、果たしてどこに夢を結んだであろうかの意。
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題 意 |
一羽の鶴が鶏羣の外に昂然跡を潔くするを詠じ、以って己の志を託した。これは二十八字詩全篇巻末の詩であり、嘉永五、六年
(四十六、七歳) ごろの作であろうと思われる。 |
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通 釈 |
碧苔をついばみ清水を飲んで自ずから落ち着きはらっている。その貴賓ある姿を見れば、お前が他の鶏群とは永久に蹤を交えないものであることがわかるのである。だが、昨夜のような明月の夜、お前はいったいどこに宿ったのであろうか。察するに、冷たい渓流に臨んだ巌上の一本松であったろう。 |
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