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日 本 漢 詩
『日本漢詩 新釈漢文大系』 著・猪口 篤志 発行所・明治書院 ヨ リ

2007/10/05 (金) 蟹

かに
ふじ ひらき (ちく がい )

てん ねんはつ そくそな

こう あたかぐん そう

もと ちょう

おう こう また さまた げず
天然具八足

戈甲宛軍裝

本是無腸子

横行也不妨
語 釈

○八足==普通の蟹は十脚である。ここに八足というのは、はさみを除いた足の数。
○戈甲==戈はホコ、二本のハサミを戈にみたてたのであろう。甲はヨロイで、カブトは冑。その甲殻を鎧にみたてた。
○軍裝==武装。
○是無腸子==蟹の異名を無腸公子という。

題 意
蟹を詠じて、人心亦率直を尊ぶの意を述べた。竹外二十八字詩後篇に附された 「竹外二十字詩」 に見え、王長春の和詩巻四にも収載している。
通 釈
生まれつき八本の足をそなえ、戈と甲をつけて、まるで武装した姿である。元来、無腸子の異名があるぐらいで、腹に一物あるわけではなし、横に歩いたとて差し支えはあるまい。
『日本漢詩 新釈漢文大系』 著・猪口 篤志 発行所・明治書院 ヨ リ