秋
盡
く
館
木
(柳
灣
) |
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靜
裏
空
しく驚
く歳
月
の流
るるに
閑
亭
獨
坐
すれば思
悠
悠
老
愁
は葉
の如
く掃
へども盡
し難
し
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聲
中
又
秋
を送
る |
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靜裏空驚歳月流
閑亭獨坐思悠悠
老愁如葉掃難盡
??聲中又送秋 |
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語 釈 |
○靜裏==静寂のうちに。
○空驚==わけもなくただ驚きあきれる。
○歳月流==年月が経って、自分も老いた。
○閑亭==人気のない、しずかなあずまや。亭は家の意。
○思悠悠==思いのはてしないこと。
○老愁==老いのうれり。
○??(ソクソク) ==辞書には 「木の葉の茂ったさま」 、或いは漱漱と同じく 「物のはらはら落ちるさま」
としてあるが、辞海には 「按ずるに亦用ひて声を状するの辞と為す」 とある。この解がここでは妥当。
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通 釈 |
いつしか静かに歳月が流れて、我ながらただ驚くばかりである。ひっそりした家の中に独り坐っていると、過ぎた日の思い出が、あれやこれやと、果てしもなく続く。やるせない老いのさびしさ、それは掃っても掃ってもつづいて、絶えることのない落ち葉のようで、そのそくそくたるかすかな音を聞きながら、こうしてまた今年の秋を送るのである。 |
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題 意 |
晩秋のさびしい風景をうつして、己の老か懐を托した詩。
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余 説 |
老いのさびしさを巧みに写した。柳灣の半生の誠実な作に似ないが、詩人亦自ら面目多しという所か。
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