御かたがたの人々、世の中におしなべたらぬを、選りととのへすぐりてさぶらはせたまふ。 御心につくべき御遊びをし、おほなおほなおぼしいたつく。
内裏にはもとの淑景舎 (シゲイサ) を御曹司にて、母御息所の御かたの人々、まかで散らずさぶらはせたまふ。
里の殿は、修理職 (スリシキ) 内匠寮 (タクミヅカサ)
に宣旨くだりて、二なう改め造らせたまふ。
もとの木立、山のたたずまひ、おもしろき所なりけるを、池の心広くしなして、めでたく造りののしる。
かかる所に、思ふやうならむ人をすゑて住まばやとのみ、嘆かしうおぼしわたる。
光君といふ名は、高麗人 (コマウド) のめできこえて、つけたてまつりけるぞと、言ひ伝へたるとなむ。
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