偶
成 |
半生
落魄 して山東
に客 たり
諳 じ尽
す人間 達
又 た窮
浴 罷 んで閑居
一事 無 く 臥 して看
る星斗 秋空
に満 つるを |
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偶 成 |
半生落魄客山東
諳尽人間達又窮 浴罷閑居無一事 臥看星斗満秋空 | |
安政五年
(1858) の作。二十五歳。 七月七日、松平春嶽は過日幕府が日米修好通商条約を独断で締結した事に抗議の不時登城した
(六月二十四日) のを咎められて、蟄居謹慎を命ぜられた。これによって春嶽は福井藩主の地位を去り、新たな藩主には糸魚川から松平茂昭が迎えられた。
左内は従来通り春嶽に近時する事になったが、いまや隠居の世話役という閑職であり、今後藩政の一変も予想されることで、大きな衝撃を受けたことだろう。 詩は、これまでの春嶽の指示のもとに国事に奔走してきたものが、突然閑職に追いやられた感慨をうたう。
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