藤 田 東 湖 漢 詩 集

「江戸漢詩選 (四) 志 士」 ヨ リ

(発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:坂田 新)

(/rp>ひょう(/rp>ひょう(/rp>われ (/rp>なんじ(/rp>あい

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瓢箪よ、瓢箪よ。はお前が気に入っている。お前はまた豊臣秀吉にも愛されたものだ。
馬印となって秀吉の軍に従う時は、金色に飾られキラキラと輝いていた。そして、秀吉が一勝するごとに馬印の瓢箪も一つずつ加えられて、百になり千になっていった。
千成瓢箪の馬印が進むところ、手強い敵もなく、秀吉が軍を叱咤する声のもと、たちまち天下の覇権を握ったのであった。

豊公憐==豊公は豊臣秀吉。秀吉の馬印は金色の瓢箪で、一勝するたびに一つずつ瓢箪の数を増やしていったという俗説が広く知られている。憐は、心を惹かれることで、哀れに思うだけでなく、いつくしむ、愛でる、などの意にも用いる。
勍敵==手強い相手。
叱咤==大声で叱りつける。ここは秀吉が軍を指揮するさまをいう。
四海==四海の中の意で、天下、国中に同じ。