藤 田 東 湖 漢 詩 集

「江戸漢詩選 (四) 志 士」 ヨ リ

(発行所:岩波書店 発行者:安江 良介 注者:坂田 新)


(/rp> (/rp> (/rp>むら(/rp>よぎ
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過 田 野 村
石径盤紆暗薜蘿

数間茅屋碧山阿

児童驚走縁何事

投耒跪観宰吏過
天保二年 (1831) の作。二十六歳。
郡奉行として諸村を巡検した時の詩。
過は、立ち寄る意味では 「よぎる」 と訓む。

山を廻る石ころだらけの道は、生い茂るつる草でほの暗い。何軒かの草ぶきの家が山の奥に見える。
突然、子供たちが走り出てきたので、いったい何事だろうかと思ったら、子供は耒を放り出して跪き、郡奉行さまがお通りになるのを見守るのであった。

石径==石のごろごろした山道。
盤紆==
道がぐるぐると廻っていつこと。
薜蘿==かずら。つる草の一種。 茅屋==草ぶきの粗末な家。
碧山==樹木の生い茂った深い山。 阿==山のくま、奥まった所。
宰吏==郡奉行。東湖を指す。